晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
ぷ。自分で言っちゃってんじゃん……。

誰が書いたかもわからない手紙に、思わず口元が緩む。




【俺がどこの誰かなのかは明かせないけど、手紙を書くことは許してもらえたら嬉しいです】




どこの誰かは明かせない……か。

謎の差出人といえど、私だって一々その人物を探すようなことはしない。

ちょっと……っていうかかなり怪しいけど、この手紙を書いた人にも、どこの誰なのかを明かせない事情があるんだろうから。

……今のところ、害はなさそうだしね。


明日もこの不思議な手紙、届くのかな。

“友達になってほしい”なんてヘンテコなお願いをしてきた、リョータから。




「きゃぁぁぁ!」


悲鳴にも似た叫び声がグランド中に響いたのは、放課後のことだった。

声がしたサッカー部の方を振り返ると、土の上に誰かが倒れている。


「……康介?」


なんでかはわからない。

わからないけど、自然と幼なじみの名前を呼んでいた。

練習を投げ出し、サッカー部員が集まるその場所へと駆け出す。
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