晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
お。真田にしては珍しいノリツッコミ。ちょっとびっくりして赤い目を丸くすると、何よ、と軽く睨まれた。


「そんな寝不足なままで、今日も朝練してきたの?」

「うん」

「さすが、やるね」


今日も今日とて朝練は欠かさなかった。

寝不足という懸念はあったけど、無性に走りたくて飛び出すようにして家を出た。土を蹴ったら、気が紛れると思ったんだ。

結局、モヤモヤが晴れることはなかったけれど。


暗い気持ちを振り切るように、少々わざとらしく聞こえるくらい明るい声を出す。


「そういえば、今日の3時間目体育だね!」

「やっとだね。昨日から楽しみにしてたんだよね」


体育の言葉に表情を煌めかせる辺り、真田も体育会系だなぁと思う。

今授業で取り扱っているのはバスケ。2人共専門外だけど、そこは持ち前の運動神経でどうにかなる。

まぁ、さすがにバスケ経験者の子には適わないけどね。


「体育があるって考えたら、1時間目の科学も頑張れるわ」

「うわ、久々に聞いたわそのパワーワード」

「文系選択だと、1年の時に科学基礎やったっきりだもんね」
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