晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
そうそう、毎回欠点ギリギリだったやつ。

出来ることなら、もう二度と触れたくない学問だ。


「文系だった2年生の一年間が抜けてるわけだから、ついていくのに超必死」

「そっか、他の理系の子達は去年も科学を習ってるのか」

「そうなの。数学だけやってりゃいいってもんじゃないのよね、残念ながら」


はぁ、と今度は真田が溜め息を吐く。

この苦労は私には理解し得ないものなので、下手なことは言えなかった。


でも、すごいなぁ。他の子とは1年という大きな差があるはずなのに、必死に食らいついていけてるんだもんなぁ……。

改めて、真田は努力の天才だと思うよ。


「おっ、やっと来たか康介!」


教室の扉が開く音とほぼ同時に、どこからか聞こえてきた彼の名前。

瞬間、心臓がばくんと大きく跳ねた。
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