晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「まぁ、たまにな」


嘘。サッカー雑誌を読んでたなんて、きっと嘘だ。

だけど、それが嘘だと見抜くことが出来るのは、恐らく私だけ。


「そういえば、登坂も陸上の雑誌買ってるんだよね?」


ここで私に振るか真田!

思わず声に出してしまいそうになったのをぐっと堪えて、瞼を伏せたまま答える。


「私も、たまにだけね……」


購読している、と言えるほど頻繁に買ってるわけではない。

好きな陸上選手が特集されてたり、中学陸上や高校陸上が取り上げられていると手を伸ばす程度だ。

陸上を始めた中学1年生の時に初めて買って、以来捨てずに保管してある。


買う時は決まって練習終わりで、その時は必ず康介がいた。


「へぇ、そんなもんなのね。私、全然買ったことないわ」

「お前はどっちかと言うと、参考書とか読んでそうだもんな」

「そんなガリ勉じゃないっつの。そういうあんたは、雑誌より漫画読んでそうね」

「なんでわかった」
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