晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
“主将タッキー”は俺のバイブル、なんて軽口を叩く康介に、真田がケラケラと笑う。

なんだかんだ、この2人も仲良いもんなぁ……。

となると、益々真田には相談出来ない。


行き詰まった時にいつも頼っていたのはリョータだけど、この一件に関しては一番寄りかかってはいけない人物だってことくらいは、私にもわかっていた。


結局、リョータへの返事も書かずじまいだし……。


「……登坂?」


名前を呼ばれ、ハッとして顔を上げると、真田が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。


「あんた大丈夫? こんな顔してたけど」


言いつつ指で目尻を押し上げ、眉間に皺を寄せた真田。

絶対悪意あるでしょ、その顔。

眉間の皺を伸ばしつつ視線をずらすと、リュックを背負ったままの康介と目が合う。


う、わ。

気まずさから顔を逸らそうとしたけれど、先手を取ったのは康介の方だった。

そのまま、何も言わずに自分の席に行ってしまう。
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