晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「あれ、なんも言わないの? あいつ」


怪訝そうな様子の真田に、私は力なく笑うことしか出来なかった。




さすがに授業は寝られるだろうと踏んでいたのに、斜め前の幼なじみが気になって、結局意識を手放すことは出来なかった。

突っ伏していても落ち着かない。真っ赤な目で前を見据えると、教科担当の先生に揶揄われた。

「珍しく真面目に受け取ると思ったら、なんて顔してるんだ」と。失礼な。




康介が私のことを好き。


そんな風に考えてみても、いまいちピンと来ない。

楽しいを共有して笑い合ったり、くだらないことで言い合ったり。

今までの様子を思い返してみても、別段変わったところはなかったように思える。


だけど、それが康介の努力によるものだとしたら。

今までの関係を崩さないように、慎重に、“今まで通り”を保っていたのだとしたら──。


そんなことは有り得ないと一蹴してしまうのは、康介にとってあまりに酷だ。




「やっと体育!」
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