晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
らしからぬテンションで更衣場所であるうちのクラスに飛び込んできたところを見ると、真田の鬱憤は相当蓄積されているらしい。科学恐るべし。

続いて、真田のクラスの女子達も教室に入ってくる。

入れ替わりに、ロッカーから取り出した体操服を抱えた男子が、追いやられるようにして教室を出て行く。

これは、割り振られた教室が自教室でなかった時の宿命である。ゴメンネ、田淵クン。


「あ、雨だ」


教室のどこからか、そんな声が上がる。

反射的に外に目を向けると、確かに大きな雨粒が窓を打ち付けていた。


「げ」


低い声の主は真田だ。

彼女はきっと、私と同じことを考えてる。


「最悪。この雨じゃ、男子流れ込んでくるじゃん」

「絶対そうだろうね」


男子は今の時期、グランドでサッカーをやってるはず。

雨天時は体育館に変更になるんだけど、それが問題。
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