晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
うちの高校は体育館が3つあるんだけど、うち2つは現在耐震工事中。

だから、本来全面使えたはずの体育館を、男女で反面ずつに分けて体育を行うことになる。


これは、体育を待ち望んでいた私達からすると面白くない。


「ったく、久々に全面使えると思ったのに」


ブツブツ言いながら体操服に着替える真田。

強化指定クラブにも関わらず、耐震工事のせいで他の部活とコートを分け合っているらしく、今日が久々に全面使えるチャンスだったらしい。体育でだけど。


「まぁまぁ。待ってる間、横で遊んでようよ」

「そうね。隣のコート見てるのも、迫力あって楽しいしね」


悔しいけど男子の迫力はすごい。そう言ってさっさと切り替えられる真田のそういうところ、私、結構好きだ。


「登坂、着替えた?」

「うん。行こっか」


体育館シューズが入った袋をぶら下げて、私達は体育館を目指した。




「……っ」


試合中、モモちゃんから受け取ったボールを持って一歩を踏み出そうとした時、視界が揺れた。
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