晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
今までに対面した“リョウタ”くん達に対しても、うまい言い訳が見つからなくて“リョウタ”探しをしている理由を説明しないまま逃げてきた。

そのツケが、まさかこんなところで回ってくるとは……!


頭が真っ白になって次の言葉を見つけられないでいる私を見て、サトタツがぷはっと吹き出した。

え、と無意識のうちに声が漏れる。


「ははっ、完全に思考停止してるじゃねぇか」

「お……おもしろがってる!」

「だって相変わらずおもしれぇんだもん、登坂」


悔しくて、切れ長の目を細めて笑い続けるサトタツの背中をバシッと叩いてやる。

座るサトタツと、立っている私。普段なら絶対に敵わないけど、この状況でマウントが取れるのは私のほうだ。

突然の衝撃に表情を歪めたサトタツが、私を見上げる。


「教師が生徒の個人情報を他人に教えるのは禁止されてるんだぞ」
< 281 / 386 >

この作品をシェア

pagetop