晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

【幸せだろうなって思】

6時間目の授業を終え、屍のような状態で真田の教室を訪ねた。

掃除の時間。黒板消しをクリーナーにかけていた真田は、隣に立った私を見てぎょっと目を剥いた。

クリーナーのスイッチを切って、私に向き直ってくれる。


「どうしたの、そんなにげっそりして」

「それが……」


自分でも未だに信じられない事実を真田に伝えると、彼女は眉間に深い皺を寄せた。


「じゃあ、“リョータ”って名前も偽物ってこと……?」

「……かもしれない」


もうわからない。彼はどこの誰なの。

張り詰めていた緊張の糸が、真田を前にゆるゆると解けていく。


「真田ぁ!」

「うわっ」


感情が溢れそうになって勢いよく真田に抱きつくと、彼女はチョークの粉で汚れている手を気遣いつつ私を抱きとめてくれた。
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