晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
西に傾く太陽の光が眩しいくらいに差し込んでいて、思わず目を細めた。

梅雨らしくずっと雨が降ってたから、久しぶりにこんな太陽の光を浴びるような気がする。

恐らく練習が出来る程度にはグランドのコンディションも整ってるだろうし、早く行こう。


沢山ある靴箱の傍を歩き、早足で自分の靴箱を目指す。

昇降口の向かって左から3列目の靴箱。左から数えて2番目の、5段目の靴箱。

手紙、届いてないんだろうな……。

眉を下げつつ、4列目の靴箱の角を折れる。


──と、向かい合う3列目の靴箱の前に、人影が見えた。

日差しが何かに反射して、また目が眩む。逆光でその姿ははっきりと見えない。

でも、確かにそこにいる。──左から数えて2番目の靴箱の前に。


「リョー……タ?」


彼の名を紡いだ声は掠れていた。

今日一日探し回ったことと彼が見つからなかったことへの落胆や疲れが、どれほど大きかったのかをそこで悟る。
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