晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「……っ」

「ペンを持つ手に力が入らなくなって、それでも頑張って手紙を書いてた。崚ちゃんにとって、あんたとの繋がりは何よりも大事なものなの。あんたからの手紙を心待ちにして、今も闘ってるんだよ……ッ」


溢れそうになる感情を、必死に押し殺したような声。

それでもやっぱり堪えられなかったのか、彩音ちゃんのパールのような白い頬が涙に濡れた。


ねぇリョータ。

今目の前に広がるもの全てが幻であればいいと思っている私は、やっぱり弱いかな。

今も頑張っているというあなたの頑張りを、否定することになってしまうのかな。


「リョー……タ」


力の抜けそうになる足を奮い立たせ、引きずるようにしてベッドに歩み寄る。


言葉だけを交わして、それを紡ぐ人の姿は知らないでいた。

優しい言の葉を生み出す人の姿を想像してみようにも、何一つ確かな情報がない中でそんなこと出来るはずもなくて。
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