晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
でももう、君の確かな姿を思い浮かべることが出来るようになったよ。

肌が白くて、顔はびっくりするくらい小さくて、睫毛は悔しいくらいに長くって。いつか君が好きだと言った空と、同じ色の帽子を被っている。

こんな形になってしまったけれど、リョータは確かにここにいる。


ねぇリョータ。

今やっと、君に会えたね。


「あのねリョータ。私ね、あなたに会えたら言いたかったことがいっぱいあるの」


勇気を出して私に手紙を出してくれてありがとう。弱い私の背中を何度も押してくれてありがとう。君の見ている世界を分けてくれてありがとう。

リョータがいたから、私は少しだけ強くなれたような気がします。


どれだけ言葉を重ねたって足りないことはわかってる。

でもね。そんな言葉達を、笑って、青空の下で伝えたいと思っていたんだよ。


「それだけじゃない。聞きたいことだって沢山あったよ。リョータのこと……全然知らないから」


どんな人に影響を受けて、どんな道を歩んできたのか。

例えば、犬か猫のどっちが好きだとか、そんなくだらない内容でもよかった。

私の声で、君のことを一つずつ紐解いていきたいと思っていたの。
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