晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「それなのに……」
クリーム色の布団から伸びる、肉が削げ落ちた手の甲にそっと自分の掌を重ねる。
彼の温もりを直に感じた瞬間、堪えていたものが一気に溢れ出た。
「……っ」
頬を滑り落ちた涙が、リョータの眠る布団にシミを作っていく。
神様は意地悪だ。きっと、本当の姿は大魔王だ。
やっと会えた初恋の人が眠ったままだなんて、そんなの酷い。
「……あんた──」
「あら、彩音ちゃん?」
彩音ちゃんの言葉を遮るように、背後で第三者の声がした。
呼ばれた張本人とほぼ同時に振り向くと、カーテンの傍に背の高いスラリとした女性が立っていた。
恐らくうちのお母さんと同年代。でも、とても若々しく見える、綺麗な人。
「崚ちゃんママ……」
隣で彩音ちゃんが呟くように言って、彼女がリョータの母親であると認識する。
リョータのお母さんも私の存在に気付いたようで、私は慌てて頭を下げた。咄嗟のことで、涙を拭うことは忘れていたけど。
「初めまして。リョータ、くんの……友人の、登坂千鶴と申します」
クリーム色の布団から伸びる、肉が削げ落ちた手の甲にそっと自分の掌を重ねる。
彼の温もりを直に感じた瞬間、堪えていたものが一気に溢れ出た。
「……っ」
頬を滑り落ちた涙が、リョータの眠る布団にシミを作っていく。
神様は意地悪だ。きっと、本当の姿は大魔王だ。
やっと会えた初恋の人が眠ったままだなんて、そんなの酷い。
「……あんた──」
「あら、彩音ちゃん?」
彩音ちゃんの言葉を遮るように、背後で第三者の声がした。
呼ばれた張本人とほぼ同時に振り向くと、カーテンの傍に背の高いスラリとした女性が立っていた。
恐らくうちのお母さんと同年代。でも、とても若々しく見える、綺麗な人。
「崚ちゃんママ……」
隣で彩音ちゃんが呟くように言って、彼女がリョータの母親であると認識する。
リョータのお母さんも私の存在に気付いたようで、私は慌てて頭を下げた。咄嗟のことで、涙を拭うことは忘れていたけど。
「初めまして。リョータ、くんの……友人の、登坂千鶴と申します」