晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
リョータは学校のどこかにいて、どこからか私の走る姿を見ていると──思い込んでた。


こんなの、わかるわけないよ。隣にある病院の窓から見てたなんて……言われなきゃ気付かない。


「手紙は、どうやって……?」


病院にいたと言うのなら、手紙はどうやって届けていたんだろう。

そんな疑問を素直に投げかけると、リョータのお母さんは嫌な顔一つせず答えてくれた。


「成城に通ってる彩音ちゃんが、代わりに届けてくれてたみたい。崚太の一つ年下の幼なじみなの。初めは嫌がってたけど、崚太が頼み込んで渋々了承してくれたんだって」

「あ、なるほど……」


だからあの子は、私の靴箱の前にいたんだ……。

疑問が解消されて、ようやく腑に落ちる。


「じゃあリョータは、私を見つけてすぐに手紙を出してくれたんですか?」


ここぞとばかりに質問を重ねると、リョータのお母さんの表情が曇った。

あ……。

やってしまった踏み込み過ぎた。そう思っても、もう後の祭り。吐いた言葉を取り消す力なんて私は持ち合わせていなかった。
< 309 / 386 >

この作品をシェア

pagetop