晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
誰よりも透明で、誰よりも色鮮やかな君のことを、意地でも見つけたらよかった。

そしたらもっと他に、同じ時間を共有する道があったかもしれないのに。


「リョータは……もう、目を覚まさないんですか……?」

「……わからない。お医者さんは、もしかしたら目を覚ますかもしれないし……一生眠ったままかもしれないって」


切れ切れに投げ掛けた質問に返ってきたのは、希望と絶望が混濁した、残酷な答え。

そんな……。ずっとこのままかもしれないだなんて、そんなの嫌だよ……。


「私、リョータに貰ってばっかりで……っ、苦しい時ずっと助けてもらってて……まだ何も、返せてないのに……っ」


ありがとうも、何も言えないまま。

私はまだ、君に伝えたいことが沢山あるのに。


「返せてないだなんて、そんなの嘘だわ」


泣きじゃくる私の耳に、リョータのお母さんの優しい声が届いた。


「あなたと手紙のやり取りを始めてから、あの子すごく楽しそうだった。初めは私も主人も、文通のことを知らなかったの。でも、何かいいことがあったんだってわかるくらい、崚太は明るくなった。全部……あなたのおかげ」
< 313 / 386 >

この作品をシェア

pagetop