晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
リョータ。りょうた。崚太。

私は君の、残酷な現実を知ってしまったよ。

初恋がこんなに苦しいものだなんて、想像もしてなかったよ。

でも。私はやっぱり、君が好きだ。

君の声を聴くことも笑った姿を見ることも、もしかすると出来ないかもしれないっていうのに、愛しさは止まるどころかどんどん加速してる。


そんな恋、君にじゃなきゃ絶対に出来なかったね。


「これ、受け取ってくれないかしら」


椅子に置かれていたトートバッグの中から、リョータのお母さんが何かを取り出す。

手の甲で目元を拭って涙で滲んだ世界を鮮明にさせると、見覚えのあるものが差し出されていた。


「それって……」

「意識を失う直前まで、書いていたみたい」


卓上に乗せられていたのは、見慣れたシンプルな便箋だった。久しぶりに受け取るそれは、いつもと違って封筒には入っていない。


「読んでも、いいですか」

「もちろん」


机の上を滑らされた手紙を受け取って、指先が震えていることを認めつつ二つ折りにされたそれを開いた。

瞬間、右肩上がりの字が目に飛び込んでくる。
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