晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
それは、信じるという祈りにも似た願いだ。


「じゃ、今日は帰るね」


眠るリョータに手を振って、椅子を片してから病室を出る。

帰路につく頃、パラパラと降り続いていたうざったい雨は止んでいた。




【リョータへ


こんにちは。リョータの返事がないままに手紙を書くのは初めてで、あなたへの手紙を書くのが久しぶりで、少し緊張しています。

立て続けに手紙をくれたリョータも、こんな気持ちだったのかな。


病気のこと、リョータのお母さんと、幼なじみだという彩音ちゃんから聞きました。

初めはどうも受け入れ難くて、何だかブラウン管の向こう側の世界を見ているようで、飲み込むことが出来なかった。

でも徐々に色んなことを知って、今リョータが眠ったままでいる現実を、少しずつ理解しました。


リョータは今、私には想像すら出来ない大きな敵と闘っているんだと思う。

その敵を退治するのに、ちょっと時間がかかっちゃってるのかなって。考えがメルヘンすぎる?(笑)
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