晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
でも本当に、そうなんじゃないかって思うんだよ。


インターハイ、無事に地方大会に進めることになりました。

ここを勝ったら全国です。去年も一昨年も、あと一歩のところで届かなかったから、今年こそは絶対に勝ち上がりたいと思います。

リョータの分まで……って言うのはおこがましいけど、悔いの残らないように頑張るね。


それじゃ、また。

リョータがくれた手紙の景色は、何よりも綺麗だと思いました】




次の日もその次の日も、私はリョータの元を訪れては手紙を置いて帰った。

置いた手紙は、次の日もそのままそこにある。

お見舞いに訪れるリョータのお母さんはその存在に気付いているはずだけど、触れずに置いていてくれてるってことは迷惑じゃないのかなって都合のいい解釈をして。

私は今日も、手紙を書いた。




「ねぇ」


部活に向かおうと、生徒で溢れる賑やかな廊下を歩いていると、聞き覚えのある声で呼び止められた。

振り返ると、艶めいた黒い髪を靡かせた彩音ちゃんが立っている。


「どう、したの?」
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