晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
康介の言ったことは、こじつけ感が否めないけど一応筋は通っていて、あながち間違いでもないように思えたから。

でも……。


「まさか、ね」


私と彩音ちゃん共に接点があるのは、リョータしかいない。

その仮説はリョータが私のことを……好き、でないと成り立たないわけだし。リョータと私を繋いでくれたのは他でもない彩音ちゃんだし。

彩音ちゃんがリョータのことを好きなら、他の女との接点を取り持ったりしないはず。


「考えすぎか」


と自分の中で折り合いをつけて、康介の後を追った。




その日も雨のせいで屋内での練習が主で、比較的早く部活が終わった。

大急ぎで制服に着替え、病院へ向かう。

いつもは一般診療が終わっている時間に行くので電気が消えた後のロビーも、今日はまだ明るい。

通院患者らしき人もちらほら見受けられた。


「…………」


ロビーを通り抜けて、4台もあるエレベーターのボタンを押す。
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