晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「地方大会ともなるとレベルも高いし、気ィ引き締めていかないと」

「あはは、あんたなら大丈夫でしょ」

「何を根拠に……」


ジト目で見てやるも、真田からの返答はなかった。

こうやってさらりとかわすのが巧いんだ、真田は。


「サッカー部も地方まで勝ち上がってるし、今年は盛り上がってるね」

「ほんとに。職員室に行く度、色んな先生に激励される」

「勝ち上がってる人の特権よ」


頬杖を突いた真田の視線が、教室のど真ん中で騒いでいる康介含むサッカー部の連中に向けられる。


「私の分まで頑張ってきてね」

「……うん。任せて」


バドミントン部の真田にも、もちろんインターハイというのは関係ない話ではなかった。

でも、真田のインハイは県大会で終わった。本当に、あともう一歩のところだったらしい。

彼女は早々にインハイでの引退を決意して、受験勉強に取り組んでいる。


真田だけじゃない。美羽や他の部員も、地区大会や県大会でその姿を消している。

その人達の分まで……なんてのはおこがましいけど。せめて、彼らに恥じない走りをしなくっちゃ。
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