晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
そしてどうか、今も闘い続けるリョータにいい報告が出来ますように。




嬉しい報告が舞い込んできたのは、宿舎についてからだった。

荷解きをしていると、ポケットの中のケータイが震えた。画面に映し出された名前は幼なじみのもので、何だろうと思いつつも電話に出る。


「もしもし、康介?」

「おう、お疲れ。今大丈夫か?」

「うん。どうしたの?」


肩を竦めてケータイを挟み込み、荷解きを継続しながら応答する。

同室である同期や後輩達は監督のところに行っていて、部屋には私しかいない。


「なんか、伝言頼まれて」

「伝言? 誰から?」

「猫目泣きぼくろ女」


誰かはすぐに思い至ったものの……なんて酷い言い方なのか。


「彩音ちゃんね。覚える気がないならそれでいいけど、もう少しマシな言い方して」

「ハイハイ。その彩音チャンが、練習中に乗り込んできたんだよ」

「……え?」


思いもよらない彼女の言動に、動かしていた手を止める。

彩音ちゃんが、康介のところへ……?
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