晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
もしかしたら、このまま目を覚まさないんじゃないかって。

でも君は、やっぱり強かった。


「負けて、られないなぁ……っ」


今すぐ会いたい。

会って、色んな話をしたい。

リョータと出会う前のこと、リョータと出会ってからのこと、リョータが眠っている間のこと。

たっぷり時間をかけて、私達に足りないピースを埋めていきたい。

知らなかった君のことを、君の口から聞かせてほしい。


でも、私はまだ、君のところには行けないから。


「私も、頑張るね……っ」


眠るリョータに書き続けた手紙が、今の私の代わりにリョータの傍にいてくれる。

そこに乗せた想いが、少しでも彼に届けばいい。


私は私で、目の前の敵に立ち向かうだけだ。




インターハイ地方大会を終えて、チャーターしたバスが学校に着いたのは18時半頃だった。

軽いミーティングを終えて、19時頃にようやく解散となる。


「千鶴先輩、よかったらこの後どこかでご飯食べて帰りません?」

「ごめん、今日はパス! また誘って!」
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