晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
リョータの視線が、棚のあるほうへと向けられる。

見やると、私が届けた手紙は全て封が開けられていた。


「うっわ、恥ずかしい。面と向かって読んだって言われるの、すっごい恥ずかしい」

「え、なんで」

「だって大真面目に書いてんだもん。なんか恥ずかしいじゃん」


きゃーと両手で顔を覆う私に、リョータが喉を鳴らす。


「そんなこ、と言った……ら、絶対に俺のほ……が恥ずかしい、よ」

「……文面でも、何回か恥ずかしいって言ってたもんね」

「そうい、うこと。……って、なに張り合って、だろ……ね」


言われて、確かにと顔を見合わせる。

それから、どちらからともなく笑みがこぼれた。

こうして実際に言葉を交わすのは初めてだけど、全然そんな感じがしないから、不思議だ。


「そういえば……全国、決まったよ」

「え……ほんと、に?」

「うん、なんとかね」


昨日今日の大会で、私は全国大会への切符を勝ち取ることが出来た。

いい報告を貰ってばっかりにならなくてよかった。続けて言うと、リョータは眉を下げて笑いつつ、祝辞をくれた。

それが何よりもご褒美だというのは、内緒だ。
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