晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「これ?」
一冊の文庫本を取り出して胸の前に掲げると、彼は満足そうな笑みを見せた。
「正解。さすが、よくわかったね」
「だって、昨日私が来るまで、表紙が真っ黄色の本読んでたじゃん」
「印象的だった?」
「そういうこと!」
リョータに薦められた本。著者は、読んだことのない人だ。
パラパラとページをめくると、紙独特の匂いが鼻腔をくすぐる。
彼のおかげで、知らぬ間に大好きになっていた匂い。
「どんな話なの?」
「んーとね……。各地で突如出没したキマイラっていう合成獣と、やつらに対抗するために作られた合成獣特別討伐部隊っていう組織との戦いを書いた話」
「SF?」
「SFでもあり、ヒューマンドラマでもある感じ」
「へぇ、おもしろそう。借りるね」
私達の間で、本の貸し借りは定番になりつつある。
私も何冊か貸したし、読み終えたらその話について語り合う。
波長が合うのか、リョータとの会話はいつも弾んで楽しかった。
一冊の文庫本を取り出して胸の前に掲げると、彼は満足そうな笑みを見せた。
「正解。さすが、よくわかったね」
「だって、昨日私が来るまで、表紙が真っ黄色の本読んでたじゃん」
「印象的だった?」
「そういうこと!」
リョータに薦められた本。著者は、読んだことのない人だ。
パラパラとページをめくると、紙独特の匂いが鼻腔をくすぐる。
彼のおかげで、知らぬ間に大好きになっていた匂い。
「どんな話なの?」
「んーとね……。各地で突如出没したキマイラっていう合成獣と、やつらに対抗するために作られた合成獣特別討伐部隊っていう組織との戦いを書いた話」
「SF?」
「SFでもあり、ヒューマンドラマでもある感じ」
「へぇ、おもしろそう。借りるね」
私達の間で、本の貸し借りは定番になりつつある。
私も何冊か貸したし、読み終えたらその話について語り合う。
波長が合うのか、リョータとの会話はいつも弾んで楽しかった。