晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
この人は多分、他人にも自分にも厳しい人なんだと思う。

どことなく、数学教師を目指す友人を彷彿させる……。


「じゃあ……テストが終わったら、もう一冊オススメの本教えて。悔しくなるくらい爽やかな、青春モノ」

「わかった。選んでおくね」


だからテスト頑張って。昨日渡した手紙の返事にそんな言葉を添えて、病室を追い出されてしまった。くっそぅ。




テスト期間でも部活はある。監督は休むことを良しとしない人なのだ。

とは言え他の先生の目もあるので、練習時間はかなり短縮される。普段は遊ぶ暇もあまりないので、これを機に遊びに出掛ける部員も少なくない。

が、私は到底そんな気分にはなれず、テスト3日目。


「千鶴先輩、今日も直帰ですか?」

「うん。普段勉強してない分、やらなきゃ欠点とっちゃうし」

「一夜漬けもいいですけど、無理しないでくださいね」


お先でーすと高らかに言い残し、トモちゃん以下後輩たちが軽快な足取りで部室を出ていく。

私はこれから、家に帰って仮眠をとって、起きたら手つかずのテスト範囲と睨めっこコースだ。
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