晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
昔から陸上一筋だったから、恋だとか愛だとかはよくわからない。

私達はただ自然体でいるだけなんだけど、どうやらそれは、その恋だとか愛だとかに準ずるように見える、らしい。


「さっ、私も練習再開しよっかな」

「あー! 千鶴先輩、逃げたー!」


そりゃ逃げたくもなるよ、トモちゃん。

やっぱ苦手なんだもん、こういう話!




「おっせーよ」


部活終わり、門に凭れていた康介が私に視線を向ける。

一緒に歩いていた、トモちゃんを含む陸上部員がニヤニヤしているのを感じながら、康介に駆け寄った。

多分、こういうのがからかいの材料になっちゃうんだよなぁ……。


「また明日ねー、千鶴」

「千鶴先輩、さよーならー!」


あーほら、完全に冷やかしモードじゃん。

どーせこの後は、本人のいないところで盛り上がるんでしょ、勝手に!


「また明日!」


べっと舌を出して、大声で別れを告げる。

康介は彼女達を気にする様子もなく、スタスタと歩いて行った。


「待ってよ」
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