晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
──伝わってきたから。
だから私は、今を全力で駆けるんだ。




練習が終わる頃、既に太陽は西に沈み、辺りは夜へと姿を変えていた。


「お疲れ様ー!」


部室に声を投げ置いて、足早に部屋を出た。

いくつもの部室が軒を連ねた部室棟が2つあり、それぞれ男女で分かれている。

奥まったところにあるほうが女子の部室棟で、門に向かうには男子の部室棟の前を通らなければならない。


大股で歩いて男子の部室棟を通り過ぎようとした……そのとき。


「お」


ちょうど部室から出てきた練習着姿の康介とかち合う。

前のめりだった体が、急停車して少しだけよろけた。


「陸部、もう終わったのか」

「うん。そっちは?」

「さっき練習終わって、今からミーティング」


康介が指差した先には、サッカー部員達。

3年生は先の大会で引退したので、いるのは1年生と2年生だけだ。
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