晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
「そうだ。多分すぐ終わると思うから、マック寄って帰らねー?」

「あー……。ごめん、今日は帰らせて」


両手を合わせて顔の前で掲げた私に、康介が目をぱちくりさせる。


「別に謝るようなことでもないけど……珍しいな、ちづがマック蹴るなんて」

「あはは、初めてかもねぇ。ちょっとね、早く帰って本の続きを読みたくてさ」


今こうして話している間も、心はあの優しい物語へと向かっている。

駆け足で、急ぎ足で、全力疾走で。


「あともうちょっとなんだよね。ってことで、私はもう帰る! またね、康介!」


康介の返事を待たず、再び大股で門へと足を進め始めた。




最後の一行を指でそっとなぞってから、丁寧に本を閉じる。

ベッドに体を投げ出して目を閉じると、心の奥底で余韻がじわりと広がった。


「すっごくよかったなぁ……」
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