プロポーズ(第4話)
「ちょ、ちょっと……」
「フェンスぎわだと、下から見えちゃうだろ。いや、おれはそれでもいいけど」
「あたしはよくない――って、そうじゃなくて、そういう問題じゃないでしょ。あんた、となりのクラスのマユと」
「あれはおしゃべりしただけ。おれには好きな女の子がいるって伝えた。それでおしまい」
「そ……そう……」
話している間に、昇降口の近くまで引っぱっていかれた。
「カコ」
「なに?」
「このあいだはごめん。あんな場所でコクろうとして。もう一度、ここで言うよ。お前のことが好きだ」
「うん……」
あたしはほほがほてって、とても顔を上げられない。
カバサワの指があごにかかって、上を向かされてしまった。