プロポーズ(第4話)
「お前、初めてだろ? それに、学校だし。今日はここまでにしておく」
「うん……」
カバサワの言葉で目をあけた。いつの間にか目をつぶっていたのだった。
おい、待てよ、今日はここまで、ってことは、次はもっと迫ってくるのか?
そう思ったけど、言わないでおいた。
「カバサワ」
「なんだ?」
「ファーストキスって甘酸っぱいって言うけど、コーヒー牛乳の味だね」
「ばっ……ばか、それは、さっきおれがコーヒー牛乳を飲んだばかりで……ってお前、色気ないぞ。女子力アップしろよ」
「カバサワ」
「なんだよ」
「あたし、お兄ちゃんが好き」
「そうか」
「お兄ちゃんが大好き。そんなあたしをそのまま好きでいてくれる?」
カバサワは即答した。
「ああ、まかせとけ。おれは心の広い男だ」
「うわあ、キザ」
あたしたちは笑った。
カバサワにだったらもっと迫られてもいいかな、ってあたしは思った。
〈了〉