プロポーズ(第4話)
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翌日、お昼前にお兄ちゃんといっしょにやってきた女性は、あたしが想像していたのとは、まるで違っていた。
薄化粧の、かわいらしい女性だった。背は女性にしては高めで、お兄ちゃんよりほんの少し低いくらい。ヒールの低いパンプスをはいているのは、お兄ちゃんに気を使っているのだろう。
とても控えめ感じだ。そして……。
お兄ちゃんとならんでいる姿に、少しも違和感がないのだった。
まるで十年もお兄ちゃんの隣にいるように、なじんで見えた。
「あ……」
あたしはその姿にひどくショックを受けた。
お父さんとお母さんはひと目見て好印象を持ったようだった。ショウコさんというその女性とお兄ちゃんをリビングに通し、ニコニコと話を始めた。
あたしは外づらはいいほうなので、作り笑顔で話を聞いていた。
途中、一度だけ発言した。
「お兄ちゃんのプロポーズはどんなセリフだったんですか?」