HEAVEN of JOKERS
【Side紬】
「はぁ~」
終わらない、終わらない、終わらない……!
汚すぎでしょ、なにをしたらこんなに汚せるわけ……?
そこまで考えてやっと気づいた。
もしかして……、わざと?
植木倒したのはわざとじゃないかもしれない。でもたぶん、ここまで踏み荒らしたのはわざとだ。
「愛莉ちゃん、性格悪い……」
「ん?愛莉がなんやて?」
「え?」
突然の声に顔をあげると、そこにはニコニコとした修太さん。
修太さんかぁ……安心した。
愛莉ちゃん大事にしてる翔平さんだったら、ぶたれて明日学校なんて行けなかった……
「そんなあからさまに安心されても、俺がなんもせんとは限らんで?」
「……翔平さんじゃない、それだけで安心できます。……って、おかしいですよね?」
「……あんた、なにされとん?」
私の言葉に眉をよせた修太さん。
さっきも思ったけど、私のこと、少し心配してくれてるのかな?
そうなら、嬉しいのだけれど。
「……いや、あんたが話せることなんかなさそうやね。口より手ぇ動かそ?
もう一枚、雑巾ない?」
んっ、と手を出してくる修太さん。
まるでお菓子をねだる子供のようだけど、ねだってるのはお菓子じゃなくて雑巾だ。
……雑巾?
「え、なんで雑巾……」
「アホ!掃除するためやろ。手で拭けっちゅーんかい」
……修太さんが?
手伝ってくれるの?
「ただ、俺が手伝ったこと内緒な?
翔平に、ぶっとばされる。」
「ありがとう……ございます……」
ちょっと嬉しくて、思わず口元がにやける。
久しぶりだった、優しくされるのが。