Happy Rainy Days 《短編》
『ありがと』
男の子はあたしにニコッと笑いかけて濡れた髪をガシガシ拭きはじめた。
「…ねぇ、あんた名前は?」
近くにあったベンチに2人で腰掛けて何気なく聞いてみた。
『……、ん?オレ?…直人(ナオト)』
…、直人くんかぁ。
「…直人くんはなんでこんなところに雨に濡れて突っ立ってたの?」
気になって普通に聞いてみただけなのに。
『家出した』
とか、
『電車を乗り違えた』
とか。
そんな返事が返ってくると思ってたのに。
返ってきた答えは
意外なものだった。
『……、知りたい?』