Happy Rainy Days 《短編》
いきなりのことで、上手く頭が回らない。
直人くんのニコニコ顔が頭に残って、張り付いたみたいにそこから動けなかった。
しばらくして。
「………、あっ!!タオル!!!!」
やっとドキドキから解放されたあたしは
直人くんに貸していたタオルが自分の手元に無いことに今更気付いた。
「……、持ってっちゃったのかな。」
“……また明日。”
頭の中で直人くんの声がこだまする。
「…今日は塾があるし。…明日もっかい来てみよっと。」
“……また明日。”
その言葉通り、また明日も会えるような気がして。
外ではまだザーザーと雨の音がしていたけど、
あたしの心はさっきまでとは違い、晴れ渡っていた。