ホテル王と偽りマリアージュ
マチガイ
週明け月曜日の今日。
いつも通り出勤したら、同じ経理部の全員に起立して出迎えられた。
「おめでとうございま~す!」
パンパンパ~ンと、バラバラな音を立てて、一斉にクラッカーが向けられる。
中から飛び出した紙屑が頭やら肩やらに引っ掛かる。
硝煙の匂いの中で、ドア口に立ち尽くしたまま、私はちょっとしたお化けにでもなった気分だ。
とりあえず『おはようございます』とだけ返事をしながら、私をお化けに仕立て上げた紙屑を取り払っていると、それほど直接話したことのない経理部部長が近寄ってきた。
私は慌てて背筋を伸ばし、敬礼にも近いほど頭を下げ、朝の挨拶をしようとする。
「いやあ~なんともめでたい! まさか直属の部下が次期社長とご結婚とは!」
けれど、部長にヒシッと両手を握られ、背筋にぞわ~っと寒気が走った。
全身に鳥肌を立て、ほぼ硬直した私を、クラッカーを向けてきた同僚たちがわっと取り囲む。
「今度お祝いの宴会しましょうね! あ、結婚式、どうでしたか?」
「でも、次期社長となんて、どこでどうやって出会ったんですか!?」
「普通にしてたら、社内で接点なんかなかったですよね?」
質問してくる割には、みんな答える間合いを与えてくれない。
いつも通り出勤したら、同じ経理部の全員に起立して出迎えられた。
「おめでとうございま~す!」
パンパンパ~ンと、バラバラな音を立てて、一斉にクラッカーが向けられる。
中から飛び出した紙屑が頭やら肩やらに引っ掛かる。
硝煙の匂いの中で、ドア口に立ち尽くしたまま、私はちょっとしたお化けにでもなった気分だ。
とりあえず『おはようございます』とだけ返事をしながら、私をお化けに仕立て上げた紙屑を取り払っていると、それほど直接話したことのない経理部部長が近寄ってきた。
私は慌てて背筋を伸ばし、敬礼にも近いほど頭を下げ、朝の挨拶をしようとする。
「いやあ~なんともめでたい! まさか直属の部下が次期社長とご結婚とは!」
けれど、部長にヒシッと両手を握られ、背筋にぞわ~っと寒気が走った。
全身に鳥肌を立て、ほぼ硬直した私を、クラッカーを向けてきた同僚たちがわっと取り囲む。
「今度お祝いの宴会しましょうね! あ、結婚式、どうでしたか?」
「でも、次期社長となんて、どこでどうやって出会ったんですか!?」
「普通にしてたら、社内で接点なんかなかったですよね?」
質問してくる割には、みんな答える間合いを与えてくれない。