ホテル王と偽りマリアージュ
私の返事を待たずに、一哉は早速頭の中で今日のプランを組み立て始めている。
しかも、面倒臭げだった割に、結構楽しそうだ。


夜は庶民には高価で敷居の高いオペラ観劇。
彼が呟くレストランの名前は、私でも知ってる有名な三つ星の物ばかり。


なんだか、これまでの数少ない経験とは比較の対象にもならない、ゴージャスなデートになりそうだ。
一哉についてお務めする分には、いくらか高貴な雰囲気にも慣れたとは言え、今日は完全なプライベート。
彼と初めてのデートとなると、私の胸には緊張感が湧き上がってくる。
でも。


「エスコートしてくれるなら、一哉に全部お任せしていい?」


彼のエスコートで、初めてのデート。
本当にシンデレラストーリーのヒロインになれた気分だった。
ちょっとくすぐったくて、でもとても嬉しかったから、今日は全部一哉に委ねてお姫様気分に浸ってみたくなった。


急遽予定に入った三つ星レストランの高級ディナーでも、一枚ウン万円は下らないオペラの観劇でも、着て行って恥ずかしくない服がクローゼットに揃っているのはありがたい。


散々プロのお世話になって覚えたおかげで、髪もメイクも恥ずかしくない程度まで自分で施すことが出来た。
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