この世界の中で生きていく為に私がすること。
2.ガイダンスの前のひと時
翌日、私はガイダンスの為にスーツを着て大学へやってきた。
ちらほらとスーツを着ている人を見る。みんなスーツに着せられているという感じで少し笑えてしまった。
ふと、昨日の人を思い出した。
あの人はスーツを着こなしていたな…と。
ガイダンスの時間にはまだ早いが、美琴や友人達と待ち合わせをしている教室へと向かった。
私が教室に入ると友人はみんな来ていた。普段は私が一番に来るのに珍しい。
「…おはよう」
なにやら友人たちはコソコソと話していたので躊躇いがちに挨拶をすると、私に気づいたのか揃って挨拶をした。
「のえる〜美琴から聞いたよぉ〜♪一目ぼれだって?」
「そーだよーやっとのんに春が来たかぁ〜」
「ねぇねぇどんな人だったの?一目ぼれの彼。」
上から友人の綾部マリ(あやべ まり)。マリは学年こそ同じだが年は2コ上で、頼りがいのあるお姉さんと言う感じで後輩などにも慕われている。
私のことを“のん”と呼ぶ上島希(うえしま のぞみ)。スポーツが得意で特定のサークルには入っておらず、助っ人として様々な所で活躍している。
藤原優(ふじわら ゆたか)。名前を間違われることが嫌いで、名前を言うのが嫌らしい。名前こそ男っぽいが、可愛い女の子だ。