この世界の中で生きていく為に私がすること。
研究室がある研究棟は、創立以来建て替えが行われていなく、当時は真白であったろう外壁は今は煤けたような灰色をしていて、内部も所々に老朽化しているのが感じられる。
研究室の前に着き、ノックしようとしたら中から話し声が聞こえる。
もう美琴たちが来ているのだろうか…。
それとも教授のお客様なのだろうか。
お客様なら話を遮ってしまうといけないが、美琴たちならば問題はないだろうな。
美琴達の性格からして、遅れてくる確率の方が高いとみていい。
中に入るべきか、お客様が出ていくの確認してから入るべきか、躊躇してドアの前で立ち尽くしてしまった。
すると、話し声が一瞬止んだ。
この瞬間を逃したら次に入るタイミングは無いと思い、ドアをノックする。
コンコン…
「失礼します。」
丁寧にドアを開けようとするが、年季の入ったドアはギィィィ…と音をたてる。