この世界の中で生きていく為に私がすること。
辰巳さんって言うんだ…名前。
と言うか、先生のお客様だったんだ。
「えぇ、先週食堂でぶつかってしまいまして…」
山本先生に苦笑いを浮かべながら話をする辰巳さんは一瞬、私のほうを見て微笑んだ。
その微笑みは、とても柔らかくドキッとしてしまった。
今のドキッってなんだ?
心拍数が上がってきて胸がきゅうっと締め付けられる。
内心ドキドキとしている私を知らない山本先生は私に隣に座るように促す。
先生の隣に座ると言うことは、辰巳さんと対面して座らなければならない。
断りたくていっぱいだが、断るわけにはいかない。
失礼します、と一声かけ先生の隣に座る。
「お、紹介が遅れたね。こちらは辰巳 静(たつみ しずか)くん、佐藤くんの5年先輩になるのかな?ずっと僕の元で研究していたんだがね、2年前に海外に留学してて帰国してきたんだ。」
「辰巳静です。貴女が山本先生の学生だとは…改めて、挨拶するのは何か変な気もしますね。」