この世界の中で生きていく為に私がすること。
「こちらこそ、改めまして…佐藤のえるです。大学3回生です。」
辰巳…静さん。
名前の通り、物静かで落ち着いてる人だなぁ。
「佐藤くんはね、僕のゼミの中でも優秀な学生でね。よく手伝いなんかもしてくれるんだよ。」
「そっ、そんなことありませんよ。優秀だなんて…」
「そうなんですか?こんな優秀な学生を持てて先生も嬉しいでしょうね。」
私は優秀なんかじゃない。普通だよ。
先生が過大評価しているだけだ。
お世辞でも言われて悪い気はしないけどね。
なんて簡単な女なんだろう、私って…
それにしても、辰巳さんがこの学校の出身だったとはね。
だから食堂でご飯食べてたのかな。
5つ先輩ってことは…26歳?
ちょっと失礼だけど、年の割には落ち着いてる人だ。
年下の私に対しても丁寧に話してくれるし、大人の空気を醸し出している。
「そう言えば、他の4人はどうしたんだい?佐藤君1人?」
先生が思い出したように私に尋ねてくる。
そうだ、約束の時間は当に過ぎているというのに未だに現れない。