だから今夜も眠れない
「相変わらず、入りにくい部屋だな」

ぐるりと部屋を見回しながら、

まるで今までも何度も来たことがあるような言い方で、

当然のようにアトリエ、もとい私の部屋を歩き回り、

隅に積まれた布団を見て眉をしかめた。


「あんたここに泊まるの?」


あ、あんた扱いなのですか?


あなた様にお会いするのはまだ2度目なのですが。


「お……おお」


「おお?返事のしかたが上からなやつだな」


「すみません、そうじゃなくて、あの……山積さんなぜここに?」


危ない危ない、

いつも王様なんて勝手に呼んでいたから、

つい口に出てしまったじゃない……


「名刺渡したよな。

俺の名前は山積宗太郎

ジャパンウェイトアビリティグループの代表取締役だ」


ああ、そういえばそんな名前の会社だったな。

っていうか代表取締役って、社長!?

気がつかなかった~っ


あんな穴が開くほど見つめてた名刺にそんな仕掛けがあったなんて、


「すみません、良く見てなくて」


山積さんはムッとした顔しながら、

「まあ、お前にとって俺って人間にさほど興味がないって証拠だってことだな」


「そういうわけでは、でも、申し訳ありません!」


興味はありありでしたよ、

只、私がアホでお名前が分かっただけで浮かれてただけで~っ

と心の中で土下座した。


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