だから今夜も眠れない
まあ、隠し立てしてもしょうがないってことね?

金持ちのすることは凡人には判らないわ。

「あんたさあ、

少し自分のこと大事にしないとな?

それから、ここのオーナーなんだろ?

ちょっと調べりゃかなりの額の収入があるはずだから、

もう少しましな暮らしできるはずだぞ?」

「はあ」

「まあ、いいかそれはあんたの自由だからな。

 当座の生活費は俺が振り込んでやるから口座番号だけ教えろよ」

「え?いいですいいです」

「だからあんたのためじゃないリュカに不自由させないようにだって」

「あの……これはリュカちゃんのこと面倒見るのがいやだって言ってるわけじゃないんだけど、

 こんなにお金かけるならベビーシッターとかそういう預かってくれるところに、

預けた方が安上がりなんじゃないですか?」


「馬鹿かあんた、今時他人が信じられるか?

 誘拐でもされたり、虐待でもされたらどうするんだ。

 そんなとこに預けるくらいなら、インドに連れてく」


「なら、他人の私だって心配しなくていいんですか?

インド連れて行った方がましなんじゃ?」


「他人じゃない。血がつながってるっていっただろ。

 それにあんたは大丈夫だ。

博物館に行ってちゃんと人となりは見定めたつもりだ。

 あんたにならリュカを預けても大丈夫だ信頼に足る人物だ」







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