だから今夜も眠れない
リュカちゃんはまだ2才なのに、聞き分けがよくて、

あまりワガママを言わないそうで、

今回駄々を捏ねたことが、宗太郎さんは偉くショックだったようだ。

しばらくお試しで一人でリュカちゃんを預かる予定だったのに、

宗太郎さんまで泊まると言い出した。

「ここワンルームだって分かってます?」

「ロフトがあるだろ?」

まあ確かにあるにはあるが、リュカちゃんを受け入れるに当たって伯父さんの作品をかなり詰め込んでしまい、

人がギリギリ歩けるスペースしかない。

「あそこにいったい誰が寝るんですか?」

「まさか、客をあそこに寝せるつもりではないだろうな?」

なら帰れよといいたい。

しかしこのキラキラ王子をあそこに押し込めるのは抵抗がある‼


ああ神様、もう私をなんとかしてください。

理不尽な要求にもイエスと言ってしまう私。

イケメンに対する抗体ないせいなのかな?

傍若無人な彼の言いなりです。

「私……ですよね」

とにかくもう言うことは聞いておこう。

どうせ近いうちにインドだかインドネシアだかに行く日までの我慢だ。

ここでまた私がなにか言い出すと、大工さん呼んで増築してしまう勢いだ。

簡易キッチンは、リフォームされキッチンらしくなり、

トイレはまだトレーニングもはじまってもいないのに古いと言って業者を呼んで作り替え、

お風呂は無くてシャワースペースだけだったらこれまた業者を呼んで見積もらせ明日工事が入る。

人が暮らす場所ではなかっただけに色々気になるんだとは思うが、狭かった部屋がさらに狭くなっているのだ。

溺愛もここまで行くと呆れるしかない。

まあ、助かるっちゃ助かるけども。



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