だから今夜も眠れない
殴ってやろうかと思った。

っていうか、

何でそこにいるのかな?

「リュカちゃんが泣いてるからっ、宗太郎さんお休みのようで……したよね?」

「 寝てなかったけど?」

「だってさっきっ」

「これ?」

『ごおぉぉ……』

スマホから流れるイビキ音ってこれかーい。

「このアプリあんたもダウンロードしておいたほうがいい。

リュカこれ聞かせると夜泣きしても大人しくなって寝てくれるから」

「ほんとですか?」

「嘘言ってどうすんだよ?ほら、スマホ寄越せ」

大真面目にふざけたアプリを勧めるこの人のかおを見上げて、

イケメンにはやっぱり敵わない。

と、頷きスマホを差し出した情けない自分に苦笑した。


このアプリにこのあとずいぶんお世話になることになるのだが

子育て経験のない私は宗太郎さんに促されだれのものともわからないイビキ音をダウンロードさせられ、

後で即消してやろうとこの時は思っていた。

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