だから今夜も眠れない
「時間休頂いてしまってすみません」

朝の打ち合わせを終えて持ち場につくところだった館長と百合川さんに挨拶をして、

クラフトルームへ向かう。

「あ、さやちゃーん、よかった間に合ったんだねっ」

「ごめんね、鈴ちゃんここんとこ不定期で休んじゃって、

大丈夫だった?」


「うん、まあ館長が張り切ってやってくれたから、表向きは……」

うんうん判るよ皆まで言われなくても、

あった訳よねボランティアさんたちと色々……ね?


クラフトルームの準備室に入ると、

ボランティアのシルバーさん達が、

ホッとした顔をした。


「すみません、度々お休みいただいて、お世話になりました」

「あれ?一人かい?子連れ出勤になるって話だったから楽しみにしてたのに」

「寝てたので休憩室に置いてきたんです」

「そりゃ駄目だ。すぐ連れておいで今頃慣れない場所で目を覚まして、泣いているかもしれないよ?」

なれない場所で目を覚ましたら、大泣きしちゃう!

起こしちゃかわいそうかなと思ったけど逆だった。

案の定

ギャン泣きだった。


私が駆け付けた時には、

困り果てたように呆然と立ち尽くす館長がいた。






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