サンドウィッチの具の悩み事【BL】
璃壱は満足そうにちゃんとした笑顔になると「ま、誰にも見せる気ないけどね」と呟いたがその呟きは飛望の耳に届かない。
その代わり、時雨の低音の声が耳に届く。
「………いい子だ。」
そう言ったかと思うと、時雨も飛望に近づき、太ももに手を這わせ時雨の顔を俺の顔に近づけ唇をなぞる。
「………舌、大丈夫か?」
太ももを触られた時ビクッとびっくりしたが、本当に心配していると伝わりコクンと頷く。
「う、うん大丈夫。」
まだちょっとヒリヒリするが2人の行動にドキドキしてしまいそれどころじゃない。
てか、男2人にドキドキさせられるっておかしくないか…?
璃壱はそんな2人を見て耐え切れず時雨の肩をつかむ。
「もー時雨!近すぎ!」
グイッと時雨と飛望を引き離したかと思うと、飛望の腰をグイッと引き寄せ、璃壱の膝の上に飛望が座る状態に。
「お、おい、璃壱。離せっ!」
それに俺は焦り、ジタバタとするが腰に回っている璃壱の腕はビクともせず、がっちりとホールドされる。
…ああ、分かる。見なくても分かる。時雨からただならぬ怒りが。
俺の1番怖いものは時雨の怒ったとき…
璃壱、ごめんっ!
だから肘を思いっきり璃壱の腹へ。
「……ぐっ!」
あまりにも痛いのか苦痛のような声を出すと腕が緩みその瞬間、璃壱から抜け出す。
「お、俺、着替えるから時雨と璃壱はそこでじっとしてろ!」
そして俺は素早くスボンを履きブレザーを着る。
その間、時雨はちゃんと…ではないがベットの上で俺の方を見ながらじっと待っており、璃壱は先程の攻撃がよほど痛いのかまだうずくまっていた。
そんな璃壱にハハッと笑う。
そしてなにげなく時計を見ると朝ご飯を食べている暇なんてないことに気づいた。
「やっばっ!もうこんな時間じゃん!」
時雨もそれに気づき璃壱のまるまった背中をペシッと軽く叩き「行くぞ」と一声かける。
璃壱はまだ痛そうに腹をさすりながらベットの上から立つが顔は苦痛でくしゃくしゃだ。
そして、俺達は急いで家から出てちゃんと鍵をかけ、時雨に預かってもらう。(俺が持つと鍵をなくす危険がある)
入学早々遅刻とはいかないので、学校へダッシュで急いだ。
ちなみに、徒歩通なのでダッシュなのだ。