スーパーヤンキー!!
始まり
雨に濡れながら母の手を握る。でも私の手にはいつも以上に力が入らない。冷たい。目から雨か涙か分からないものがたくさん頬をつたう。


なんでかな…どうして…こんな事になっちゃったの かな…あー、母さんの綺麗な髪がビショビショだ…私がなんとかしてあげないと…


でももう私の手は震えて動かない。情けないとしか思えなかった。その時私は、今までにないくらい泣いたと思う。誰にも見せたことの無い涙を…


ああ…目が痛いなぁ…誰か、目を覚まさせてくれないかなぁ…誰か…………母、さん……


ダメだなぁ…本当にもうダメだなぁ…こんな感情は初めてだよ。よくもこんな醜い感情を呼び起こしてくれたな…許さねぇ…絶対許さねぇよ。あの野郎…いつか絶対…絶対に、


殺してやる!!!!!!!!!!


その瞬間、俺の中の何かが切れる音がした。もう誰にも止める事の出来ない、何かが。


俺はこの時------を捨てた。家族に気付かれないように、------を捨てた。それはものすごく大事な物だったのかもしれない。でも俺は、誰にも気付かれないように捨てた。家族の為に。今度こそ家族を守り抜く為に。


俺の中で何かが壊れる。でもその時はまだ、気づいていなかった。気づけるはずもなかったのだ。自分自身に何が起きてしまったのか。


タイムリミットまで……………………


あと、10年。
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