スーパーヤンキー!!
しばらくして、俺は全てを吹っ切るように笑顔を作って口を開く。


「俺、思ってたんですけど、浅葱さん以外の先輩方って、喧嘩はものすごく強いかもしれないですけど、でも…やっぱり"ただの不良"ですよね?」


「……………………」


俺が核心をついたように言うと、七人はだったまま何も言わない。驚いているわけでもなく、怒っているわけでもなく、ただ、俺の次の言葉を待っているようだった。


「俺、正直言うと、こんな学校潰れた方が皆の為だと思ってました。だから、上に立つ人間を俺が潰せばカタはつくと思っていたんですけどね?そういう訳にもいかなくなってしまった訳なんですよ」


「………それで?お前は俺らに何を望んでんだ?」


張り詰めた空気を更に重たくするような声が部屋に響いた。


「俺は別に、アンタらに何かしてもらいたい訳じゃないんですよ。ただ……………」


俺は一度間を置き、深呼吸をしてから、


「……アンタら七人に俺の家に来てもらいたい。それだけです」


単刀直入に言い放つ俺を見て、七人は顔をしかめる。そして俺の方を、まるで詐欺師を見ているかのような目で見つめてきた。


「やっぱり信じてもらえませんか……なら……」


俺は意を決し、真面目な顔で七人一人一人を正面から見据える。


「俺の素性を明かします。そうすれば、信じてもらえますか?」


「自分の素性を明かせられるのか?ここで」


「それで信じてもらえるのなら、俺は喜んで明かしますよ?どうですか?素性を明かせば俺について来てくれますか?」


「それは保証できねぇな。俺らはお前にそれを保証してやる程優しくねぇ」


浅葱さんは俺を少し馬鹿にしたように笑いながら、それでも真っ直ぐに俺を見てくれる。


「じゃあ俺が素性を明かす必要はないわけですね。それに、俺は口が軽いですから、自分の素性と一緒に何を言うか分かりませんよ?」


俺は意味ありげに言うと、にやりと笑って見せた。


「俺が今ここで自分の素性を明かすと、アンタら七人が他の不良達に隠している事まで言っちまうかもしれないですよ?」


「俺らを脅してんのか?」


「いいえ。俺はアンタらが隠そうとしている事を知っているからこそ、ここで言うのはまずいんじゃねぇかって心配してるんですよ」


「……へぇ。お前、俺らが何隠してるか分かんだ?」


「もちろん。ここに来るまでに会った一人の不良のおかげで確信が持てましたから」


俺が迷いなく答えると、浅葱さんは少し考えるように顎に手を当て、周りの六人と顔を見合わせてから、俺に目を向け、


「良いだろう。お前が俺らに何を望んでるか知らねぇが、行くからには全て話してもらう」


俺はそう言った浅葱さんに向けて笑顔で返す。


「俺、言った事は必ず守りますよ」


まるで俺の返事が合図のだったかのように、七人全員がそれぞれ喋り出した。俺も内心ホッとする。そして同時に、ここからだな、と気合いを入れる。
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