スーパーヤンキー!!
襖の前から桜さんの声が聞こえ、俺は正気に戻る。危ない危ない。いつもテンションが上がるととんでもなくいろんな人に絡んでしまう。


襖を開けて入ってきた桜さんは、親父の所まで行くと、耳元で何やら話している。こういう時はだいたい裏の事だ。


親父は「少し席を外す」とだけ言って、桜さんと出ていく。


俺は七人と向き合った。


「いやぁ昼食上手いですねー。どうですか?ここの料理は?なかなかでしょ?」


「さっきからなんなんだよてめぇは!馴れ馴れしく話しかけてくんじゃねぇよ!」


「ちょっとえいりん。俺らはもう友達じゃないか!そう硬いこと言うなよ」


「誰がいつてめぇのダチになったんだよ!口の減らねぇ奴だな」


「もー。ふうちゃんまでそういう事言ってー。二人共照れんなよー」


「「照れてねぇよ!!」」


「おっと、息ぴったりじゃないか!いいねぇ。仲がいいってのは」


俺がニヤニヤしていると、


「おい、お前いくつだ?」


「お、れんれんから話しかけてくれるなんて嬉しいなぁ。俺は今年で16だよ」


「てめぇなんで女のくせに男みてぇな言葉で話やがる?っていうか年下なら先輩つけて呼べや」


「ああ、それには深~い訳があるんですよね。っていうか、まふまふって意外と先輩とかそういうの気にする派なんですね」


なんだかんだでいろいろ話しながら昼食を食べ終えると、親父が部屋に戻ってきた。そして真面目な雰囲気にがらんと変わると、俺は一息置いてから話し始めた。


「じゃあとりあえず、俺の家庭が極道だって事はもう分かってると思うんですけど、まあ俺はそんな極道の長女ってわけで。いろいろと苦労しているんですよね。まあ、俺は継ぐ気なんて全く無いんですけど」


「てめぇ長女なのに継がねぇとか出来んのかよ」


「普通は出来ないですね。でも運がいい事に俺には出来の良い弟がいて、しかも極道の世界に興味がある。俺と親父の事を尊敬してくれてるし、そういう面ではものすごく条件がいいんですよ。でも、まだ問題はいくつかあるんですけど」


「それで?お前は継がねぇなら何すんだよ?」


「それはまだ言えないですけど、いずれ言う日が来ると思うんで、その時にでも。それより、れんれんには聞きたい事があるんです」


「………何だ?」


「れんれん達の中で順番はどうなってるんですか?」


「………は?順番?」


「簡単に言えば、No.1からNo.7まではどういう順番かって事ですよ。一番がれんれんとして、次からは誰になってるんですか?」


「それは今関係あんのか」


「いいえ。でも少し興味があったので」


「基本的に蓮以外は皆、実力的には同じなんだよ。だから順番は年で決めた」


れんれんの代わりにいくとんが答える。


「へぇ。誰が一番歳上なんですか?」


「俺と万冬と蓮が高2だから一番上だ。つまり、蓮→俺→万冬。次は高1の瑛凛と颯真。順番は瑛凛→颯真だ」


「えいりん。ふうちゃん。やはり君らは俺と同い年だったんだな。うん。分かってたよ。そんな感じがしてた」


「っせぇな!」


「てめぇと同い年なんて吐き気がするわ」


「まあそう言うなよ。俺達の仲じゃねぇか」


「どんな仲だよ!俺はてめぇをな仲間なんて思っちゃいねぇよ」


「てめぇ、そその口二度と開けねぇようにしてやろうか。ああん?!」


「そりゃ勘弁だぜ。俺は話が出来ねぇと生きてけねぇからな」


「いい加減にしろや。話が進まねぇだろうが。誰のせいで俺がわざわざ説明してると思ってんだよ」


俺とえいりんとふうちゃんのやりとりを聞きながらイラついたらしい。ものすごく顔が怖い。うん。真面目にしないと殺される。絶対殺られる。


俺が黙ったのを確認すると、


「ったく。んで、次が中3の葵葉で、最後が中2の蒼茉。これで分かったろ?」


れんれん→いくとん→まふまふ→えいりん→ふうちゃん→あおばん→そうまちん。なるほど。だがまさかこんなに年がバラバラだとは思わなかったな。


「はい。有難うございます。まだ気になる点はありますけど、今聞くのはやめておきます。それより、大事なのはここからです」


俺はずっと黙って話を聞いていた親父に目を向ける。だが親父は、いつもの優しい顔をしていなかった。
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